プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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検査キットの行政指導に安心

こんばんは,ゴドーです。


新型コロナウイルスの検査キットについて,消費者庁から販売業者への行政指導があったことがニュースになっていました。

近所のドラッグストアにも検査キットが山積みされており,このようなキットを店頭に並べる姿勢にドン引きしていたところなので,まずはよかったかなと。

新型コロナウイルスの検査キットの販売事業者5社に対する行政指導について | 消費者庁


合わせて,一般消費者向きにも自己判断で検査キットを使わないように広報されています。


Twitter上のリプライやニュースサイトについたコメントを見ると「検査を拡充しない国が悪い」的な論調の人が多々見られますが,これはちょっと論点がズレている気がします。

第1に,上の消費者庁ツイートにもあるように,1年前のゴタゴタしていた状況ならまだしも,今現在で,検査が必要な人は全て検査されているのではないかと思います。

都の感染状況ポータルHPで検査人数推移を見ても,検査数がサチっているようには見えません*1

そして第2に,市販の検査キットは国が認可していないという事実はツイート通りであり,検査実施数の多寡に依らずこの事実は揺るがないということ。

よしんば検査実施数が不足しているとしても,素人がキットを買って自己診断することはできないという点に変わりはありません。


ここまで来ると,検査数が足りているのかどうかという問題に帰着するのでしょう。

「世田谷区モデル」を始め,検査数をとにかく増やせという立場の人は依然として多いようですね。

僕自身は,疫学の専門家でもなく,検査数の多寡についてブログに書くような意見はありません。


ただ,検査は診断のための一手段であり,診断がつかないのに検査しても意味がないという論は非常に納得できます。

個人使用する検査キットに関して,検査精度も気になるところですが,一番の問題はどのような検査結果が出たとしても素人には結局診断できないという点に尽きると思います。

医者でもなければ,ベイズや仮説検定についても知らないような一般人が検査キットを使っても,おみくじを引くのと何ら変わりありません。


科学的正確性ではなく安心感を得たいというのであれば,それこそ公的な制度に従って,ちゃんとした医療従事者に診断してもらうべきでしょう*2

安心感の大切さも理解しますが,本質的解決に向かわない方法で仮初の安心を得ようという姿勢には同調できませんし,感染症のように社会性の高い事象については,行政はより一層強く注意喚起を続けてほしいと思います。


それでは,また。

/ゴドー

*1:今年1月の感染者数が激増した時期がピークで,今はそれより落ち着いています。すなわち,検査可能なキャパシティ以内に収まっているということでしょう。

*2:もし,国や医者が信用できないのであれば,これはもはや認知的な問題であり,議論で解決できる次元を超えていますね。