こんばんは,ゴドーです。
大阪の放火テロ事件について数日前にブログ記事を書きました。
今日,建築学科出身の人と話して色々と教えてもらったので,忘備録的に記事にしておこうと思います。
件のビルでは唯一の出入り口・非常口の前に放火されてしまいました。
建築基準法で二方向避難が定められていないか確認したところ,ビルのサイズ的に二方向避難は必要ないと。
建築の世界では「ペンシルビル」と呼ばれるそうで,かつては新宿歌舞伎町のペンシルビルで火災が起こったりと問題になっているようです。
また,消火設備に関しては消防法で細かく規定されているようで,ビルの種類によって1単位(≒1本)ごとに何平米をカバーすると決められているとのこと。
面積だけでなくあらゆる場所から20m以内で取りにいけるよう設置する必要もあると。
建物の耐火性能については建築基準法や消防法で規定されているし,実際に火災リスクはどんどん低くなっているとのこと。
ただ,予想通りですしたが,法律が想定している火災は徐々に火が燻っていくような”普通の”火災であり,ガソリンが一気に引火するような放火テロは考慮されていないとのことです。
テロのリスクと全ての対象ビルを見直す社会的コストとのバランスを考えると,テロを想定して設置基準を変えるのはまだまだ現実的ではありません。
京アニの事件以来,ガソリンの購入に身分証明が必要になるなどルールが厳しくなりましたが,それでも今回のようなテロを防ぐことは事実上不可能です。
大型ビルや駅のように,広く出口もたくさんある場所であれば,単独犯が大規模テロを起こすことは難しいでしょうが,今回のような「ペンシルビル」であれば単独犯でも大きな被害を出せてしまうというのが悲しい現実。
最近のテロ続きで不安を感じている人も多いでしょうし,法律が変わらずとも,対テロを含む防犯性能を売りにした建築が,まずは民間レベルから生まれてくるかもしれませんね。
それでは,また。
/ゴドー