こんばんは,ゴドーです。
末永幸歩著『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を読みました。
絵の描き方や美術史といった技術・知識ではなく,タイトル通り「自分なりの考え方」を探すアートの考え方について解説された本です。
20世紀以降の代表的な美術作品を挙げて,現代美術が辿った道を追体験させながら,同時に既存の枠に縛られない考え方を納得させていく構成はお見事。
道中では美術作品の鑑賞方法についても助言があるのですが,それはあくまでアート思考を理解するための補助であり,鑑賞方法の「正解」を教えるわけではありません。
自分の感性そのものである「興味の種」から「探究の根」を深く伸ばし,「表現の花」を咲かせるのがアーティストであるとのことで。
つまり,たとえ絵や造形物を作っているとしても,花部分だけを作っている「花職人」はアーティストではないという話ですね。
単に与えられた課題を解決するのは「花職人」であり,自らの内発的な興味関心から価値創造できる人が「真のアーティスト」であるという話は,芸術家に限らず創造的な仕事をする人,たとえば自分のような研究者にとっても重要ですね。
「技術・知識」に偏重した現代美術教育へのアンチテーゼとして書かれたであろう本書ですが,著者も言う通り社会人にも広くオススメできる内容だと思います。
それでは,また。
/ゴドー