こんばんは、ゴドーです。
職場の自主研究会で進化生物学の話が出ていました。
特に印象的だったのは個体が助け合う互恵性、特に直接援助を受けたわけではない個体に援助する「間接互恵」についての話でした。
一見、直接的な利益がなさそうでも他者を助ける行動ということで、「情けは人の為ならず」といった道徳性と間接互恵性を絡めて語られることがあります。
ただ、個人的にこの見方は誤謬があるというか、誤解を招く可能性があると思っています。
道徳性にせよ間接互恵性にせよ、その”戦略”を取る個体群が”生態系”の中で有利になる可能性はあります。
しかしながら、間接互恵性はあくまで生物学的な進化の文脈でのみ語られるべきで、道徳性のような文化の進化とは切り離すべきでしょう。
そもそも自己複製子が自己複製子であるために共通した要件をもつことを考えれば、道徳性と間接互恵性が共通した性質をもつことは必ずしも意外なことではありません。
実際、文化的進化は必ずしも生物学的進化と歩調を合わせるわけではなく、むしろ個体を死に追いやるようなミームだってありうるわけですから、生物学的進化の結果として獲得された間接互恵性が文化的に育まれてきた道徳性を促進していたという考え方には妥当性がないと思います。
それでは、また。
/ゴドー