こんばんは,ゴドーです。
アメリカの生物医学系学術誌「American Journal of Biomedical Science and Research」上に「偽論文」が投稿されていたそうで。
論文タイトルは「Cyllage City COVID-19 Outbreak Linked to Zubat Consumption」。
「CyllangeシティにおけるCOVID-19のアウトブレイクはズバットの食用消費と関係がある」というタイトルです。
タイトルを見るだけで,明らかに偽の論文と分かりますね。
著者にもポケモン金銀の「ウツギ博士」が混ざっていたりと中々凝っています。
論文の体裁自体はちゃんとしているので,注意深く読まないと偽論文と気が付かないかもしれません。
https://biomedgrid.com/pdf/AJBSR.MS.ID.001256.pdf
この論文著者は別にいたずらをしているわけではなく,まともな査読・編集がなされていない論文誌を告発するために,敢えて明らかな偽論文を投稿しているのです。
このような悪質な学術誌が存在する理由は,出版社は論文掲載料を儲け,研究者は雑な論文で発表件数を稼ぐことができるため,双方にメリットがあるから。
このような「ハゲタカジャーナル」の存在は,相互レビューによって成り立つ科学の健全性を破壊する,科学コミュニティにとって許されざるものです。
かつては「STAP細胞」論文がNature誌に載ってしまったこともありました。
このように,一流誌と言われる学術誌であってもまともな査読が行われていない可能性があります。
とはいえ,全ての論文が信頼ならないと科学全体を捨ててしまうのも極端すぎますね。
相互レビューの仕組みは残念ながら完璧に機能しているとは言えませんが,そうだとしても,科学の信頼性を担保する現状唯一の方法なのですから。
今回のズバット論文を機に,査読の重要性が改めて非研究者の方にも伝わるといいですね。
それでは,また。
/ゴドー