プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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SNS上のハイブリッド戦争

こんばんは、ゴドーです。


『140字の戦争』を読んでいます。

現代の戦争特有のハイブリッド戦、SNS上におけるプロパガンダ合戦について、実際の事例と当事者を取り上げながら描いたノンフィクション作品です。

タイトルの140字というのは言わずもがな旧Twitterのことで、象徴的なタイトルですね。


2019年の本ですが、イスラエル-ガザ地区の戦争やウクライナ-ロシアの戦争など、今まさに現在進行形で起こっている戦争の話が中心です。

というより、ハイブリッド戦争は既に2010年代から始まっていたということですね。

自分が「ハイブリッド戦争」を意識したのは、現在のロシアの侵攻が始まって以後、小泉悠氏の『現代ロシアの軍事戦略』を読んだとき。

それまでも「プロパガンダ」という言葉は知っていましたが、実際にどういうことが行われているのか、実情についてはよく分かっていませんでした。


SNSを利用している以上、地理的には遠く離れていても戦争に巻き込まれているという意識は大切ですね。

国際社会として戦争が生活に影響しているというのはもちろんですが、SNS上で何らかのナラティブを見聞きしたりリポストしたりするとき、ほとんど戦争当事者として参加しているということを自覚する必要があるでしょう。


ちなみに、ロシアがマレーシア航空の飛行機を撃墜した事件について、いわゆるネット探偵が事件の真相を解き明かしていく章があるのですが、これまた刺激的な内容で、不謹慎かもしれませんが非常に現代的でおもしろかったです。

ロシア国内のソーシャルメディアTikTokなどに残された動画像とグーグルマップを駆使して、徐々に情報を裏取りしていく過程はドラマチックで、これがノンフィクションであるという凄みを浮き彫りにしています。

今のところ、こういった探偵作業は人力でないと不可能な知的作業のように見え、人工知能に置き換えるにはまだ時間がかかりそうに思えます。

究極、人間の知的生産は情報化社会の中で氾濫した数々の情報ソースから、ナラティブか、もしかしたらそれ以上に確からしいファクトを明らかにする方向で残っていくのかもしれません。


それでは、また。

/ゴドー