こんばんは,ゴドーです。
『進化生物学への道 ドリトル先生から利己的遺伝子へ』を読了しました。
今日の記事タイトルはこの本からの一節です。
内容としては,生物学者である長谷川眞理子先生の自伝的読み物といえるでしょうか。
行動生態学や進化生物学がまだ確立していない頃のリアルな体験談が非常に面白かったです。
まだ電子メールもない時代で,欧米の最新学説を東大の講座では誰も知らなかったなど,当時の学術界の様子が生々しく描かれていました。
新しい学問が生まれる混乱期で(行き先も分からないまま)最先端を走っていたパイオニアの自伝ですから,読み物として非常に面白いです。
さらに興味深かったのは,生物学からスタートした先生が,法学や経済学の学生と交流し,そこから他分野の文献などを読んだりしたことで,本業である人間行動研究へのヒントが得られたという話。
個人的に分野を絞らず様々な文献を乱読して,あえてあらゆる分野に興味をもつように心がけていることが,正しい方向性であると改めて勇気づけられました。
以下,心に残った一節をメモしておくと,
人間を科学的,進化的に研究するには,研究者の側にかなりの度量が要求されると思う。人間について自分が深く知らないようでは,取り上げた側面だけの浅い研究に終わってしまうだろう。人間について深く知るには,自分自身の経験だけでは足りない。文学や芸術も,他の分野の人間の知的活動も,いろいろなところにどん欲に目を向けねばならないのだ。その意味で,自分の心の中に専門の壁を作ってしまうのは,とてもよくないことだ。それは,人間の研究に限らず,どんな場面でもそうであろう。狭い領域について深く探求することは,もちろん大事なのだが,それが,心の中の壁になってしまうと,実りが少なくなるのである。
自分もまさに人間行動を研究していますが,まだまだ様々な分野に触れて素養を増やしていかなければと思った次第です。
この話はまだまだ掘り下げてみたいので,いつか別の記事を書きましょう。
それでは,また。
/ゴドー
進化生物学への道―ドリトル先生から利己的遺伝子へ (グーテンベルクの森)
- 作者: 長谷川眞理子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/01/26
- メディア: 単行本
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