こんばんは,ゴドーです。
昨日のニュースですが,スパコン「富岳」による飛沫拡散シミュレーションの結果が記事になっていました。
これから冬になって空気が乾燥していきますが,低湿度下での飛沫の拡散具合をシミュレーションしています。
「正面に座る人に比べ,隣に座る人は5倍飛沫を浴びる」という結果について,「飛沫5倍」のところをタイトルにしたニュースメディアが複数あり,Twitterトレンドにもなっていました。
インパクト狙いのタイトルチョイスに見えますし,この記事に対する反応も個人的には疑問を感じるものが多かったですね。
疑問を感じるコメントの最たるものは「より距離が近い隣人の方がたくさん飛沫を浴びるのは当たり前なのだから,スパコンを使って調べるまでもない」というもの。
不誠実なメディアの「5倍飛沫」に誘導されてのコメントだとは思いますが,それにしたって不見識じゃないかなと。
「距離が近い方がたくさん飛沫を浴びる」という定性的な結果は確かにシミュレーションせずとも想像がつきますが,「5倍」という数字はシミュレーションによって出てきたものです。
上に張った産経新聞の記事はかなり誠実で,ちゃんと数字をあげていますが,こういった定量評価ができたことに価値があるでしょう。
冬場の飲食店における感染対策を考えていくうえで,この数字が判断の根拠になっていくのですから。
対策を考えるときは,対策しない場合のリスクと対策にかかるコストのバランスを考える必要があります。
一番安全な感染対策は開店しないことですが経済的ダメージが大きすぎるし,全ての座席を個室化すると大きな効果があるであろうことは定性評価でも分かりますがコストが高すぎる。
このリスクを考えるうえでシミュレーションによる定量評価は大きな価値がありますね。
悪意あるメディアの書き方と本質を外したコメントはさておき,空気が感染することで飛沫拡散が増えるということは重要ですね。
今冬を乗り切るために,ぜひこの研究結果に基づいて対策していきましょう。
それでは,また。
/ゴドー