プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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『自閉症という知性』を読みました

こんばんは,ゴドーです。


今日は吉祥寺まで歩いて,この間落とした晴雨兼用の折りたたみ傘を無印良品で買い直しました。

帰りは電車で三鷹に戻ってきましたが,駅構内の無印で同じ商品が売っていることに気付いて苦笑い。

時間は余分に費やしましたが,涼しい空気の中を散歩できたのでよかったかなと。

夜は駅前でステーキを食べ,銭湯に寄ってから帰宅しました*1

少し火照った身体に夜風が気持ちよく,コンビニで買ったアイスコーヒー片手に歩いているととても気持ちよかったですね。

 * * *

池上英子著『自閉症という知性』を読みました。


社会学者である著者が自閉症スペクトラム障害者へインタビューした内容を元に書かれた本書。

当事者が内面を語りやすい場として,初めはバーチャルなコミュニケーション空間であるセカンドライフ上で交流しているのが興味深いところでした。

表情に乏しいアバターの方が表情を読む必要がなく,またチャットベースなので文字を読み返して自分のペースで文脈を追えるということのようです。

一部のコミュニケーション要素だけを捨象できるバーチャル空間ならではの価値がここにありますね。


また,一口に自閉症といっても,スペクトラムと言われるだけあってその個性は本当に様々あるのがよく分かります。

良し悪しとか優劣の話ではなく,そもそも非自閉症,定型と言われる人の間でも認知の仕方に個人差があることは皆が認めるところだと思いますが,インタビュー記事を読むとヒトの認知の多様さに驚きます。

僕の大好きな森博嗣先生の著作『四季』にて,真賀田四季博士という天才の内面が描写されるシーンがあるのですが,本書に出てくるスペクトラム当事者の方の観ている世界は,これと近いのかもしれません。

自分を含め定型の人間は感覚器官で得た情報を脳内でフィルタリングして,ある種大雑把に世の中を理解しているのに対し,その機能が働かないスペクトラム当事者は,膨大な情報量に圧倒されながらも,この世界を自分以上により深く味わっているのですね。

森作品の中で「綺麗」と表現されていた感覚を,確かに感受されているのだと思いました。

実際,インタビューされた方々が世界の認知について語るところは本当に神秘的で,文字を追いながらではありますが,ちょっと涙が出てきてしまうくらいでした。


非常に面白い内容だったので,脳科学に興味がある知り合いにも薦めてみようかと思っています。

同時に,同作者の別著書も読んでみようかと。


それでは,また。

/ゴドー

*1:fully vaccinated とはいえ感染リスクはゼロではないので,他の客と距離を置いて短時間で上がってきました。