プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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社会現象を統計物理する

こんばんは,ゴドーです.


社内勉強会用に,論文を読んでネタ探しをしています.

自分の復習にもなるし,人に説明することで理解も深まるしで,一石二鳥な感じです.


今回の勉強会では,社会系の物理学に関する論文から,特に意見形成ダイナミクスに関する内容を紹介しようと思っています.

意見形成ダイナミクスというのは,例えば選挙の投票のような群衆意見の分布や,社会全体における合意/非合意の形成といった社会現象が,一体どのような仕組みで成立していくのかを研究する分野です.

今回の発表は統計物理学的な立場からの解説をするつもりですが,聴衆はこの分野が専攻ではない人も多く含まれると予想されるので,単なる研究紹介に留まらず,社会物理学の面白さを伝えられるプレゼンにしたいと考えています.


統計物理学的な立場で社会現象を考えるというのは,ひとつには各個体の限定的かつ局所的な相互作用が,社会全体における集合的現象をどのように引き起こすかを考えるということに当たります.

ちょうど,水の分子が近くの分子と電気的な力で引き合いながら,全体として氷の結晶を作っていくようなイメージでしょうか.

もちろん水分子に比べて人間の相互作用はずっと複雑で,それを無理矢理に簡易化したモデルで考えるのですが,そのような簡易モデルでもなお,巨視的な特徴について何らかの言及をできるのが統計物理学の素晴らしいところです.


それに加えて,社会現象に対する物理学的な興味といえば,互いに異なる環境における社会現象の間に,何らかの普遍性がないか調べることにあります.

そもそも物理学というのはこの普遍性を探求する学問である訳ですが,一見複雑でどれも異なって見える社会現象について,いくつかのパラメータを測ってみるとその間に共通の関係式が見えたりすると,その背後に普遍的な原理があるのではないか? と考えるわけですね.


社会物理学の歴史は,古くは出生率調査など様々な分野に渡りますが,近年は特に電子デバイスの普及により,ビッグデータが容易に手に入りうる時代になったことで,より勢いを増していると思います.

今後も成長していく分野だと思いますし,ぜひ追いかけていきたいと思っています.


それでは,また.

/ゴドー