プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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森博嗣『馬鹿と嘘の弓』を読みました

こんばんは,ゴドーです。


森博嗣先生の最新ノベルス『馬鹿と嘘の弓』を読了しました!


最近の森先生のノベルスに共通する傾向通り,本作にも探偵が出てきますが,いわゆる「本格ミステリ」物ではありません。

エンタメ作品ではありますが,扱っているテーマを考えると純文学っぽいとも感じました*1

ネタバレしたくないので敢えて抽象的な感想を書きますが,ある種同じような行動原理で動いた2人に対し,最終的に大きく異なった結果になったことは,深い含蓄があるというか考えようがあると思いました。


Amazonレビューを少し見ましたが,本格ミステリ的な推理を期待している人ほど評価が低い印象です。

これに関してはもう,そういう方向性の作品ではないので仕方がないですね。


ただ,これまで森先生のミステリシリーズ(特にGシリーズとXシリーズ)を読んでいた読者にとっては,ある種のトリックがあるように思いました。

本当はそこに謎があるわけではないのですが,ついついキャラクターを類型化して,あの人物っぽいからこう動くだろうと思い込んでしまう,そういった先入観によって予想を裏切られた衝撃がありましたね。

森先生の作品の魅力のひとつに,大きな世界観がつながっていて,あるシリーズに出てきた人物が別シリーズにも登場することがあることだと思いますが,それをさらに逆手にとったような演出ではないかと。


なんだかんだ森先生の著作でまだ読んだことがない本がけっこう残っているんですよね。

年末年始の時間がある間に,一気読みしてみようかな。


それでは,また。

/ゴドー

*1:分類に詳しくありませんし,分類することに興味はありませんが。