プロジェクション・フィルム(仮)

いろいろ考えたことを言語化して焼き付けておくためのブログ。話題は研究・身体・生活から些細な日記まで雑多に。ほぼ毎日21時更新です

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動機を聞くことに意味はないと思う

こんばんは,ゴドーです。


小田急線内で30代男が乗客複数人を刺したという事件がニュースになっていました。

特におそらく最初に狙われた20代女性は複数箇所を刺され重傷ということで心配ですね。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6400990


取り調べで誰でもいいから殺害したかったとか女性への恨みがあったとか述べているようですが,あまり加害者の動機を聞いても仕方ないような気がします。

もちろん,裁判のために加害者の供述を聞くことは必要だと思いますが,犯行の動機を報道したところで,それが社会のためになるのでしょうか?

大衆心理としては「なぜこんな犯行に及んだのか理由が知りたい」かも知れませんが,聞いて納得できる動機なんてものが存在する可能性は低いでしょう。

というのは,たとえば犯人が世の中への不満を語ったとして,それ自体は共感できたとしても,だからといって無差別殺人を実行しようとする人はごく少数だから。

多くの人にとって想像もつかない事件だからこそ,動機を聞いて「それならば納得だ(=同じ立場なら自分も犯行に及ぶかも)」という気になることはまずありえません。


そもそも,加害者の語る動機が今回の事件に至った理由の全てであるとも思いません。

もちろん,理由の一端ではあるのでしょうが,人は自分の行為に対して後から意味付けして,自分がその理由で行動したと思い込む生きものですから。

言語化可能な動機でもって,論理的思考の帰結として犯行に及ぶケースもあるでしょうが*1,今回のケースはむしろなんらかの衝動によるもので,加害者が語る「動機」は後付けの言葉であるように感じます。


言葉にできない情動でもって犯行に及んでいるとしたら,情状酌量のしようがないと思いますし,犯罪は犯罪としてしっかり裁いてほしいです*2

一方で,こうした犯行に及ぶ要因を分析し対処していかないと,類似した犯行は今後も続くでしょう。

個人的には広い意味での格差がこうした破滅的な行為へ繋がっていると仮説をもっており,その対策も含めて今後も研究していきたいと思っています。


それでは,また。

/ゴドー

*1:たとえば刑務所に入りたいので程々の犯罪を犯すとか。

*2:そもそも情状酌量という制度の存在自体が疑問ですが。